校長コラム
2024年3月5日
初めてのきょうだい子育て「お兄(姉)ちゃんなんだから」が、ダメな理由
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お子さんに初めてのごきょうだいを迎えられる方、おめでとうございます!
1人目の子育ては、わからないことだらけで、不安の日々。
でも、2人目は、経験があるぶん、不安は少なくなっているものの「きょうだいをどう育てたらいいの?」という心配もありませんか?
年間1.4万人が受講する、1歳から高校生までのキッズダンス専門
Ti-ccha(ちっちゃ) KID’S DANCE SCHOOL 校長であり、チャイルドコーチングアドバイザーTi-cchaより、「初めてのきょうだい子育てはどうしたらいいの?」という声に対して、その方法をご紹介させていただきます。
▼目次▼
妊娠中は上の子との「対話の時間」に
上のお子さんがまだ小さいうちの2人目の妊娠では、1人目の時よりハードな妊婦生活になっていないですか?
知らず知らずのうちに、体への負担が溜まっていきますから、決してご無理なさらないでくださいね。
ごきょうだいがいらっしゃる中での妊娠生活なので、体調が安定している時は、
「上のお子さんと、お腹の赤ちゃんとの対話の時間」にしてみてはいかがでしょう。
上のお子さんにお腹をなでてもらったり、話しかけてもらったり。
上のお子さんに絵本を読む時は、お腹のお子さんも一緒に聞いているような雰囲気をつくってあげてくださいね。
月齢が進むと、胎動も始まると思います。
「楽しいから動いているよ〜」
「面白いお話だったのかな?」
というふうに、存在がまだ見えないうちから、赤ちゃんを意識させてあげるといいと思いますよ。
なぜなら、上のお子さんからすると、大好きなお母さんが、つわりで体調が悪くなったり、お腹が大きくなって、自分のことをあまり抱っこしてくれなくなったり……。
それが「お腹の赤ちゃんのせいだ!」と敵対心が生まれてしまう場合もあるからです。
そうならないように、上のお子さんにお腹を触ってもらいながら、お腹の赤ちゃんにこんなふうに話しかけるといいと思います。
「お兄(姉)ちゃんですよ〜あっうれしいのかな? 動いているよ!」
そうすると、
「僕のこと、知っているの? わかるの?」
と好印象を持てるのです。
男の子三兄弟を育てる私の体験談ですが、三男は、長男と次男の声を聞き分けていたと思います。
穏やかな長男が触る時は、お腹からの反応ものんびり。
元気な次男が触る時は、活発でした。
それは、誕生して数年経った今でも、お腹の中にいたころと同じ感じです。
長男とはのんびり過ごし、次男とは、いつも活発に動いています。
お腹の中から兄弟の関係性が始まっているのだな〜と感じました。
赤ちゃん返りへの対処法
上のお子さんは、赤ちゃん返り中ですか?
それとも、まだ気配はないですか?
妊娠中に起こる子と、出産後に起こる子がいます。
どちらも健全な成長過程と言えます。
それでも、「お兄(姉)ちゃんになるのに、どうしてこんなに甘えるの? 大丈夫かしら…」と不安になっていませんか?
安心してください。
大丈夫です!!
お子さんの目線でイメージしてみましょう。
大好きなお母さんが、つわりで体調が悪くなり、お腹も大きくなり、抱っこの回数も減ってきた。
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と言われても
「お兄ちゃんって何?」
「お母さんのこと大好きなのに、甘えたらいけなくなるの?」
こんな気持ちを言葉にできなくて、不安で不安で、その心の中を態度で示しているんです。
ですから、今してあげるといいのは「たくさん甘やかすこと」です。
「お兄ちゃんになるの、心配?」
「お姉ちゃん、なりたくないと思っている?」
上のお子さんの気持ちをたくさん聞いてあげてください。
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出産後はどうしても、上のお子さんにかかりきりになってあげられない時もあります。
下のお子さんが生まれる前に、たくさん気持ちを聞いてあげてくださいね。
「甘えグセがつきませんか?」
そんな質問が飛んできそうですね(笑)。
甘えグセの心配よりも大切なのは、お子さん自身が「たくさん愛されている実感」です。
「自分はこの家族に必要な存在なんだ! 大切にされているんだ!」
この心の土台があるからこそ、人に優しくする心が育っていきます。
逆のケースで、お母さんが妊娠中で体がきついからと上のお子さんは放っておかれ、
「お母さんは今しんどいの! わかってよね!」
などと言われ、寂しい思いをたくさんしてきたとしたら、生まれてきた赤ちゃんに優しくできるでしょうか?
それよりも、
「自分はたくさん愛されている! とっても優しくてあったかい家族なんだ! 赤ちゃん、ようこそ我が家へ!」
そんな気持ちを育めるように、大切に時間を過ごせるといいと思うのです。
下の子が生まれたら、ぜひやってほしいこと
まず理解しておきたいのは、上のお子さんが
「なりたくてお兄ちゃん・お姉ちゃんになったのではない」ということです。
下のお子さんが生まれる前は、いつでもお父さんお母さんを独り占めして、自分にたくさん愛情が注がれていました。
でも、下のお子さんが生まれたことによって、大好きなお父さんお母さんが、自分だけに時間を使うわけにはいかなくなり、寂しく感じてしまうということを、まずは理解してあげてくださいね。

上のお子さんが「きょうだいがほしい」と願って叶ったとしても、子どもたちの理解度では、イメージとは違う場合が多いのです。生まれたら、自分だけに愛情が注がれていた時とは違う時間が始まってしまいます。
「では、家族が増えることは、上の子にとって不幸なこと??」
それは違います。
家族の笑顔が増えるんです!
それは幸せで素敵なことですよね!
ですから、上のお子さんが兄や姉として健全な心でスタートできるように、こんなことをやってみてくださいね。
出産後は、いろいろな方が、赤ちゃんに会いに来てくださると思います。
その時に「先に、上の子に声をかけてもらってもいいですか?」と事前にお願いしておきます。
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その方から、「◯◯ちゃんの赤ちゃん、見せてもらってもいい?」と、まずは上のお子さんと話をしてから、下のお子さんの方に行っていただく工夫をします。
これは、効果絶大です!
これまではよく構ってくれていたご親戚やご友人が、赤ちゃんとの対面を楽しみにしているが故に、上のお子さんをスルーして、下のお子さんにだけ注目してしまう。
すると、上のお子さんは、とても寂しい思いをします。
そうならないように、お会いされた瞬間、上のお子さんにまず声をかけていただき、そして、上のお子さんの「弟・妹」として、紹介をしてもらうのです。
「お兄ちゃんになったの〜おめでとう!」
「◯◯ちゃんの妹、とってもかわいいね〜」
このように声をかけてもらえると、上のお子さんは、お祝いの言葉を受け入れることができて、自慢のきょうだいと思えるでしょう。
例えば、このお祝いの言葉を、赤ちゃんのお顔を見てからしていただいても効果は薄れてしまいます。
自分はスルーされて寂しい思いをしている中で、「おめでとう」「かわいいね」と言われても、寂しい気持ちでかき消されてしまうかもしれません。
「上のお子さんの人格を大切に考える」
これは一番大切なことです。
そうすることで、年下のきょうだいを大切にする心が育っていきます。
きょうだいげんかで親が言ってはいけないこと
さて、きょうだいが生まれてしばらくすると、大変になるのが「きょうだいげんか」
我が家も日常茶飯事です(笑)。
でも、それはとてもいいことなので、きょうだいげんかの対処法をご紹介していきますね。
きょうだいげんかが起きると、親御さんは、まず頭ごなしに叱らずに、けんかの内容を客観的に見てあげてください。
↓
きょうだいげんかで多いケースは、「物の取り合い」です。
「物の取り合い」を例に、対処法をお伝えします。
↓
同じものをきょうだいで取り合っている場面。
「お兄ちゃんなんだから、がまんしなさい。」
「お姉ちゃんなんだから、下の子に譲ってあげなさい。」
そんなふうに声をかけてしまっていませんか?
これは、NGです。

「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だからがまんするべき」というのは、(ただ先に生まれただけで)自分の努力ではどうすることもできないことに対して、責任を負わされるのと同義です。
子どもにとって、なんとも理不尽で理解できないことを当然のように言われたら、とうてい納得できないですし、その場では従っても、モヤモヤした気持ちが残るでしょう。
また、上の子にがまんさせることを繰り返していると、自分の意見をはっきり言う機会を奪ってしまう可能性もあるのです。
ではどうしたらいいのでしょうか?
きょうだいは「人間関係を練習する相手」
まずは、親御さんは第三者の立場で、それぞれの意見を聞いてあげてください。
「私が先に使ってた!」
「その前に僕が使ってたのに、ちょっと置いていた時に勝手に取った!」
きょうだいげんかの言い分は、「どっちもどっち」が多いものです。
親御さんが直接見ていたわけではない場面でもめている時は、ここで、どっちのものと決めつけないようにします。
我が家では、家にあるものは「家族で使うもの」というルールを決めています。
それでも、その子のお誕生日やクリスマスにもらったものなど、所有者がはっきりしている場合もありますよね。
その時は、「貸して!って、言ったかな?」
と確認をします。
言っていなかったとしたら、
「言わないといけないよね。勝手に使われて怒る気持ちはわかるよね?」
などと一方的に決めつけるのではなく、質問形式で会話を進めるようにします。
言っていたとしたら
「貸してって言ったのに、貸してくれないから(勝手に持ち出して)使っている」というケースもあります。
その時は、自分のものではないのに、勝手に使ってはいけないことを教えます。
一方で、だれのものでもなく、家族みんなのものを取り合いになっているケースは、このようにします。
まず親御さんは
「2人とも使いたいんだよね」と、状況を整理します。
「そんな時はどうしたらいいと思う?」
こうして、上から目線で叱るのではなく、本人たちにルールを決めさせるような会話に誘導します。
重要なポイントです!
「叱るのではなく、本人たちでルールを決めるように導く!」
「使いたい時に使えなくていやだよね。でも、それは、学校でも公園でも起こることだよね。そんな時に、無理矢理取ったりしていいかな? きょうだいは、みんなと仲良く過ごす練習ができる相手だと思ってみようか。」
子どもたちは「仲良く過ごす」というキーワードにハッとしてくれると思います。
日々のきょうだいげんかは、「面倒なこと」ではなく、「人間関係の練習」と捉える提案をするのです。
ですから「お兄ちゃんだからがまん」「お姉ちゃんだからがまん」とは伝えません。
伝えるのは、「人はみんな平等だから、ルールを決めて、みんなと仲良く過ごす練習をしよう」ということで。
すると子どもたちは、
「じゃあ、5分ずつ交代ね。」
「今は僕が◯◯な理由があって使いたいけど、△△が使いたい理由も教えて!」
このような話し合いが生まれます。
きょうだいげんかは、成長のためのとっても素晴らしい機会です。
しかし、もし
- 親御さんがルールを決めて守らせる。
- 頭ごなしにこうしなさいと指示をする。
- 上の子だからがまんしなさいと一方的に言われる。
このように過ごしていると、子どもたちは、このルールを社会で使ってしまいます。
例えば、
先輩の立場になったお子さんが、後輩に「これがここのルールだから、守れ」と高圧的に伝えてしまう心配さえ出てきます。
こんなお子さんに育ってほしいですか?
それとも、たくさんの後輩に慕われ、信頼される先輩になってほしいですか?
子育て中は、いつも時間に追われるようなお忙しい毎日かと思いますが、チャイルドコーチングアドバイザーとして、日々たくさんの子どもたちと関わる私は、実感しています。
家庭で学んだことは、その子が社会に出た時に現れる。
上の子だからといって、いつもがまんさせていては、自分の意見を口にする経験が少なくなってしまいます。
下の子だからといって、いつも優先してもらっていては、考え方が自己中心的になってしまいます。
きょうだい子育てでは、社会に出た時に思いやりを持って他者と関わる経験を、日常生活できるので、ぜひぜひ親御さんからの声かけを工夫してみてくださいね。
まとめ
「では、一人っ子は、他者と関わる経験が少ないの? よくないの?」
そんなふうには思わないでくださいね。
私は一人っ子です。
でも今、年間1.4万人の生徒、保護者の方、インストラクターやバックオフィスのみなさんや、家族5人と楽しく生活しています。
きょうだいがいてもいなくても「他者と過ごす時に、どうしたら仲良く過ごせるか?」考えて経験した数が大切です。
私自身も、仲良くできなかった多くの経験があったからこそ、周りのみなさんと笑顔で過ごせる今があります。
ある一人っ子の生徒の話です。
その子は2歳児ながらに非常に視野が広く、レッスン中、いろいろな子の感情の機微を読み取る能力にたけている子です。
私は彼のすごくいいところだと思って、親御さんにその子の家庭での様子について聞いてみました。
すると、多くの親戚と過ごす機会が多いとお話しされていました。
このように、きょうだいがいてもいなくても、多くの人と接する経験は大切ですね。
最後に…
今回のコラムのように、きょうだいを育てる時には、まずは上のお子さんの人格を大切にして、思いやりの気持ちを育み、次に、弟・妹の存在を理解してもらう。
そして、大きくなってきょうだいげんかをするようになったら、親御さんが「頭ごなしに叱る」のではなく、お互いに意見を交わし、一緒にルールを決めていけるような関係性が作れると素敵ですね。
このコラムと出合ってくださったご家族が、きょうだい仲良く笑顔あふれる日々を過ごせるよう、心から願っております!


