校長コラム

2023年8月8日

人見知り・引っ込み思案 激変5ステップ

100人子どもがいたら、100通りの性格や持ち味がある……そうわかってはいても、いざお子さんが人見知りだったり、引っ込み思案だったりすると、気になる親御さんも多いのではないでしょうか。

今回は、年間1.2万人が受講する、1歳から高校生までのキッズダンス専門Ti-ccha(ちっちゃ) KID’S DANCE SCHOOL 校長であり、チャイルドコーチングアドバイザーTi-cchaが考える「人見知り」「引っ込み思案」の対処法について、主に未就園児を対象としたやり方をお伝えさせて頂きますね。

 

子どものためにできること その1

『欠点として見ない』

お出かけする時、人と会う時など、事前に話したときは楽しみにしていたのに、いざとなると尻込みしてしまったり、他の子と比較して積極的に行動できなかったり。そんなお子さんの姿に、親御さんとしては歯がゆい気持ちになることもあるかもしれません。

まず最初に、人見知り・引っ込み思案とはどういうことなのか、辞書で調べてみましょう。

「人見知り」
知らない人を見てはにかんだり、きらったりすること。(岩波国語辞典 第5版より)

「引っ込み思案」
しりごみがちで、進んでなす勇気に乏しいこと。そういう性質。(岩波国語辞典 第5版より)

このように、人見知り・引っ込み思案という言葉は、積極性がない印象に受け取れますね。

でも、見方を変えれば、

「人見知り」
人(場所)に対して積極的に関わらない。

物事をじっくり判断して、この人(場所)は安全か、判断をしてから行動に移す、賢い子。

「引っ込み思案」
積極的に何かにチャレンジしようとしない。

まず最初にすることは、物事の観察。難しいか、自分にできるか、想像力豊かに考えている子。


違う視点で見てみると、どちらも、お子さんの持つ優れた性質なんです。
大人の価値観でマイナス面と決めてしまわず、その子の良さを伸ばしていくことが大切だと思います。

プラスの視点で観察することで、お子さんをサポートするうえでのヒントが見えてきますよ。


子どものためにできること その2

『心の準備時間を、笑顔で共に過ごす』

人見知り・引っ込み思案いずれのタイプの子も、「観察する時間」を大切にしてあげると、お子さんの心が落ち着いていきます。

例えば……【はじめての習い事に行ってみたが、泣いて何もできなかった】
こんな場面があるとします。

お子さん
(ここはどんな場所なんだろう……)
(先生は優しいのかな……)
(お友だちもいるんだ……仲良くできるかな……)

親御さん
「ほら、行っておいで! 大丈夫、大丈夫! 楽しそうだね!」

このように文面で見ると、いかがでしょうか?

同じ時間を過ごしているお子さんと親御さんの心情がかみ合っていませんね……。

こうした場面の続きとして、よくある例はこうです。

親御さん
「やってみないと、楽しいかわからないでしょ! ほら、行っておいで!」
お子さん
「うわ〜ん! ママがいい〜!」

親御さんから離れられなくなってしまう理由として、お子さん自身は心の準備をしたいにも関わらず、親御さんに「行っておいで」と言われてしまうこと。
自分が望んだタイミングではない瞬間に、チャレンジしなくてはならず、心がパニックになっている状態と考えられます。

お子さんが小さければ小さいほど、「今、どんな場所か慎重に観察しているから、ちょっと待っててね! 心の準備をしたら行くから!」なんて説明ができず、代わりに伝える言葉が、「ママ(パパ)がいい〜!」なんですよね。

なぜそうなるかというと、お子さんにとって、親御さんが一番安心できる存在だからです。

そんな親御さんが、自分が慎重に物事をスタートしようと心の準備をしている時に、急かしたり、叱ったりしたら、お子さんはどんな気持ちになるでしょうか。

一方で、もしも隣でその「準備の時間」をにこやかに見守っていたとしたら、どうでしょうか?

先ほどお伝えしたような「パニックな時間」は生まれず、心が安定して、一歩踏み出す準備ができるのです。
この準備時間は、経験や成長と共に短くなってきますし、次第に「積極的な子」と感じる早さで、その状況に馴染んでいく子達も多く見てきました。

当校に初めてお越しいただいた時、お子さんを見て「じっくりタイプだな!」と思った瞬間、私は、
「◯◯ちゃん(くん)、こんにちは〜! ちっちゃ先生って言います! よろしくね♪ ここ大きいでしょ〜! ここで今日はダンスしてみるんだけど、聞いてきたかな〜?」
「そしたら、スタジオの中、少し見てみようか〜?」
と声をかけてみます。

ここで親御さんから離れられないタイプのお子さんは、レッスンが始まっても、親御さんのそばにいたいと感じている子が多いです。

そんな場合は、
「いいよいいよ! ママの近くでやってみようか♪」

すると、親御さんの近くならできる子もいれば、一緒にやることすら難しい子もいます。

その場合は続けて、こんな声かけをします。

お子さんへ
「見てるだけでも全然いいよ〜!」

親御さんへ
「せっかく来たんだからやらせてみたい、やってみないとわからないという親心、とってもわかります♪
◯◯ちゃん(くん)、とっても賢い子で、今、しっかり観察をしているので、その横で笑顔で背中をさすってあげてください。楽しそうだね。とかプラスの言葉を伝えてあげてくださいね。」

すると、最近では100%に近い形で、レッスンに参加できています!


子どものためにできること その3

『チャレンジできたら、たくさんほめる』

 

これまで述べたように、慎重なじっくりタイプのお子さんは、まわりをよく観察し、心の準備をしっかりしてから、物事に挑みます。

いざ、踏み出した時に、もしいきなり注意されてしまうと、今まで時間をかけて行ってきた心の準備は、一瞬にして、ガラスが割れるように粉々になってしまうのです。

すると、次の一歩までは非常に時間がかかります。

私はよく親御さんに、「登る階段のステップを小さくしてあげて、それができたらたくさんほめて喜んであげてくださいね!」と伝えています。

「体験レッスンで、先生の真似が一瞬できた」
そんな時は、たとえ、その一瞬でやめたとしても「今のいいね〜めっちゃ上手やったよ!」と言います。

多くの場合、「すぐやめないで、そのままやってごらん!」とは言わない方がいいと考えています。

この時の心の動きとしては、勇気を出してやってみたものの、できるかやっぱり不安になって、中止してしまったことが予想されます。

そこで、「もっとやっておいで」などと言われても、「できない!」という心の殻の中に閉じこもってしまい、レッスン参加への気持ちを遠ざけてしまうのです。

この場面では、「途中でやめてしまった」ことを叱咤激励するよりも、「一瞬でもチャレンジしてみようという行動に移せた」ことにフォーカスしてほめた方がいいと考えています。


子どものためにできること その4

『お子さんと自分との違いを理解する』

いくらご両親のDNAを持っていたとしても、お子さんの数だけ違った性格を持っているもの。ご自身とは全然違って当然ですよね。

 

我が家のケースでは、私は社交的ですが、長男は、非常に人見知りな子でした。
祖父母にもすぐにはなつかず、一泊共に過ごして、帰り際にようやく抱っこしても泣かないというくらいでした。


他にも例えば、公園に行きそこに誰か1人でもいると、その公園では遊べませんでした。
誰もいない公園を探して自転車でウロウロし、結局遊ばずに家に帰ってきたこともあるほどでした。

 

そんな時に私が心がけていたことは、長男と私は違う性格だと認め、長男には長男のペースで経験を増やしたいと思いました。

人見知り・引っ込み思案だから出歩くのはやめておこうと消極的になるのではなく、いろいろなところに出向き、多くの人に出会いました。

その時に、私たち親はいつも他者とコミュニケーションを楽しみ、いろんなことにワクワクして取り組みました。

その姿を、長男に見せ続けました。

人は経験の度に何かを得て、そこから性格や行動が変化していくのだと思います。

現在長男は、非常に社交的で、性別や年齢問わず、初めての人ともよく話すことができます。

もし小さな頃に「この子は人見知りだから、多くの人に会わせるのは負担かもしれない」と思って避けていたら、今の長男の性格はないかもしれません。

しかし、慎重な長男にとって、当時は人と会うことは非常に刺激が強く、その晩の夜泣きは激しかったです。
負担をかけすぎているのかな……と心配した夜もありました。

 

しかし、社交的になった長男は、今すごく楽しそうです。

夜泣きする長男を見守っている、過去の不安そうな自分に「この積み重ねは、きっと将来のこの子の成長につながるから、心配しないでね」と伝えてあげたいです。


中には、親御さんご自身もじっくりタイプと感じていて、ご自身と似ているお子さんの性格について、あまり気にならないケースもあるかもしれませんね。
これをご覧になっている親御さんが、じっくりタイプとして人生を楽しんでいらっしゃるなら「ご自身流の人生の楽しみ方」を、お子さんに伝えてあげられると素敵ですね!

 

しかし、「社交的な子にしてあげたい」「何に対しても積極的な子にしてあげたい」と思われて、このブログをお読みいただいている親御さんでしたら、まずは

 

–この子と自分は違う–

 

この言葉を、ぜひ心の真ん中に置いて、子育てを楽しんでいただきたいと思います。

「親ができたんだから、あなたもできるでしょ」という前提があると、お子さんが自己肯定感を高めにくくなってしまうかもしれません。

 

「自分はダメな人間だ」

 

そんな風に感じてしまったお子さんが、積極的に物事に取り組めるでしょうか?
初対面の人と、話ができるでしょうか?

 

自己肯定感があってこそ「積極性」「社交性」が育まれるものだと、私は考えています。

 

子どもためにできること その5

『まずは小さなステップから』

じっくりタイプのお子さんは、大きな変化に直面すると、前向きな気持ちより、不安が大きくなります。

大切なことは、不安を小さくしてから経験を増やすことなので、親御さんはこんなサポートをしてみてはいかがでしょうか。

 

例えば「社交的になってほしい」とします。

ご自宅に、ご友人・ご親戚を少人数で招くのはいかがですか?

お子さんにとっては、自分の家は安心できる場所です。
外で会うより、安心な自宅の方が、心の不安を小さくできます。

そして、少人数なので、大勢よりハードルを下げられます。

 

さらにしてあげられることは「過去に会った人である」ことを実感できるように、以前会った時に一緒に撮った写真を、その人と会う前に見せて「この前も会った人だよ! 楽しかったね」と、いい印象からスタートさせてあげます。

 

そして、いざ対面したらその方に、お子さんのがんばったことなどをお話しするのもいいかもしれませんね。

 

「ここに飾ってある絵、この子が描いたんです!」
「とっても上手にかけているね!」
こんな風に、目の前で親御さんとその方が自分をほめてくれたら、嬉しい感情が生まれますよね!

 

こんな場面を作るのが難しいと感じる親御さんは、以前お会いした時より、お子さんが大きくなったことをお話しするのもいいかもしれませんね。

 

「とっても背が大きくなったね〜!」

お子さんにとってそんな風に言われることは、
(小さな時の自分も知ってくれている人なんだ!)

と、家族以外の人が自分の成長を喜んでくれていることに、幸せな気持ちになると思いますよ。

 

そんな経験を繰り返し「人に会って話すって、楽しいことなんだ!」という経験に繋げてあげるといいと思います。

 

逆効果なのは、あらかじめグループができている環境です。

そうした状況を避けてあげるのがベターだと思います。

 

社交的な子でも、仲良く遊んでいる見ず知らずのグループに、「一緒に遊ぼう!」と1人で入っていくのは、なかなか難しいことです。

 

例えば、公園や遊び場などでは、あの子とあの子は、もう仲良しのお友だちと感じるグループの中ではなく、1人で遊んでいるお子さんがいる環境の方が、スムーズにいい経験を増やしていけると思いますよ。

 

さらに、お子さんより年上の子の方が話しやすい、年下の方が話しやすいなど、年齢が違う方がいいケースもあります。

いろいろな場面を経験してみて、お子さんにとってどんな環境がいいか見つけられるといいですね。

 

最後に……

じっくり物事を進めていきたい人見知り・引っ込み思案と表現される子は、「消極的」とマイナスイメージを持たれるかもしれませんが、決して、マイナスな性格ではありません!

賢く、観察する力に優れている子です。


大切なのは、その良さを伸ばし、経験を通じて、観察する時間の長さや過ごし方を練習していくことだと思います。

 

そして園児時代の成長過程で、どんな風になれていたら「学校生活を楽しめるか?」そんな入学後のイメージをふくらませることが、親御さんがお子さんにしてあげられることではないでしょうか。

 

このブログを通じて、様々な性格のお子さんが、お友だちと仲良く交流したり、いろんなことにチャレンジしたりして、笑顔が増えることを願っております!


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